アメリカのちょっと昔、の時代の家族像を描いた小説。
理想的とは言いがたいものの、不思議な絆で結ばれた家族の姿は、痛々しくもあり哀しくもあり、そしてなんとも魅力的でありました。
物語はベリー家の次男、ジョンによって語られていきます。
夏のホテルでの運命的な示唆に富んだ、父と母の、そして二人と熊との出会い。
長男のフランク、長女のフラニー、次男のジョン、次女のリリー、三男のエッグ――次々に生まれてくる子どもたち。
ある日、父親のウィン・ベリーは決意する。家族でホテルを経営しよう、と。
こうして、第一次「ホテル・ニューハンプシャー」が誕生する。
家族は、様々な不幸や不運に見舞われながら、また、抜き差しならぬ問題を抱えながら、1930年代のアメリカ、第二次大戦後のウィーン、そして再びアメリカと、ホテルとともに生きていきます。
粗野で、下品で、乱雑で。
それなのに、時々現れる、胸を打たれるほどの美しさ、哀しさ。
アーヴィング作品に心を捕らわれる理由はここにあります。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
海外の小説
- 感想投稿日 : 2010年8月27日
- 読了日 : 2008年2月25日
- 本棚登録日 : 2010年8月27日
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