それをお金で買いますか――市場主義の限界

  • 早川書房 (2012年5月16日発売)
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お金で買えるものは何か、お金で買うべきでないものはあるか、あるとすればそれを決めるのは何か、そんなお話。
世界では突拍子もないものに値段がついている。驚くような例がたくさん出てきた。

一番印象に残っているのは、「薬物中毒の女性が不妊手術か長期の避妊処置を受ければ、300ドルの現金を与える」という慈善団体の話。その目的は不幸な赤ん坊の誕生を未然に防ぐこと。
当然ながら、猛烈な批判の声がある。では何が問題なのか?と議論を深めていく。

また、値段を設定することで、意図した効果の真逆になることもある。
・(イスラエル)保育園の迎えに遅刻する親が多い問題に対し、罰金制度を設けた結果、遅れる親が増えた。お金を払うことで後ろめたさが消え、延長料金で延長する権利を買っている感覚になっている。
・(スイス)ある山村で、核廃棄物処理場の建設を受け入れるか?というアンケートを取った。条件なしの場合と、村民への補償金を提示した場合とで、なんと後者の方が賛成は激減した。公共心(国に貢献する気持ち)が浸透している場では、金銭的インセンティブは逆効果になることがある。自分は賄賂に動かされたりしない、と。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 学術・教養
感想投稿日 : 2019年2月24日
読了日 : 2019年1月30日
本棚登録日 : 2019年2月11日

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