最恐の幽霊屋敷

著者 :
  • KADOKAWA (2023年7月21日発売)
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本棚登録 : 281
感想 : 31
3

 栃木県北部のある屋敷では過去に何度も人が死ぬ事件が起きており、現在の所有者は瑕疵物件であることを売りにして借り手を募集、結構な人気物件だという。
 この“最恐の幽霊屋敷”で多発する死亡事件の犠牲者を調べてほしいという依頼が、探偵・獏田の元に持ち込まれた。最恐と言われる幽霊屋敷には何があるのか?
 

 図書館本。
 様子見に最初の数ページに目を通したら、「変な家」と似たような導入だった。期待薄だなあと思いながら借りたが、本格的に目を通したら、文章もしっかりしていて予想外に面白かった。
 過去に幽霊屋敷を借りた人々の、当時の視点で話が進む。その合間に、登場人物の1人であるオカルトライターによる、最恐の幽霊屋敷に関する著書の抜粋が挿入され、因縁話的な盛り上げに一役買っている。

 しかし、話の構成上、似たような事件が複数発生するのだが、どれも異常、陰惨、猟奇的。それらを続けて読むことになるわけで、正直、胸焼けしそう。「またその話かよ……」という感じがしなくもない。

 話の締めくくりも今ひとつ。
 はい、あなたが怪しいのはかなりの読者が予想していたと思いますよ? んで、そこのもう1人! あんたが見せ場をさらって行くのか~!?
 なんかもう、どうでもよくなった。
 ホラーは結末がなんだかな~の作品も結構多いが、本作もその一つに加わった。

 なんだかな~な点はあるが、文章は読みやすく、胸焼け以外はノリも悪くなく、決してつまらない作品ではなかった(結末以外)。
 総合的に星3.5といったところ。


 作者の感性が独特なのか、私の感性が変なのか、なんだか引っかかる記述も結構見られた。

 胸焼け猟奇心霊現象の大安売り状態なのに、なぜか「この程度の心霊現象で最恐とは言えない」と発言する登場人物が複数いる。
 んじゃ、どういう現象なら最恐なんですかね。敷地内に指先が入っただけで血ィ噴いて爆散してゲロゲログッチョンになるとか? そんなの漫画でもそうそうありませんけど?

 小鳥遊、温水編で扱われるロケ大惨事事件で、心霊研究家の新海がADの凶行を避けて2階へ逃げている。
 この行動について『普通の神経なら(ADのいる風呂場とは)逆方向に逃げるだろう?』
と肯定しているが、普通の神経なら、殺人真っ最中の家から逃げ出さないか? 出入り可能な場所がたくさんある日本家屋で立て籠ってどうするんだよ……。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2023年12月9日
読了日 : 2023年12月9日
本棚登録日 : 2023年12月8日

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