ベテラン作家陣によるミステリー・アンソロジー。
・有栖川有栖「砕けた叫び」
殺害された私立探偵が手にしていたのは、ムンクの「叫び」の人形。それは何を意味するのか?火村&アリスが謎に挑む。
・折原 一「トロイの密室」
そこで眠ると死ぬと言われる、洋館の呪われた部屋。送り届けられた棺。万全な道具立ての中で起こった密室殺人は、呪いによるものか? 謎の渦中に葉山虹子と竹内刑事のコンビあり。
・太田忠司「神影荘奇談」
山の中の洋館に迷い込んだ青年が体験した悪夢のような一夜は、夢か現か? 狩野俊介が謎を解く。
・赤川次郎「命の恩人」
線路に落ちた娘を救ってくれたのは、大企業の専務だった。そんな恩人から、ある頼まれ事をされた母親は……。
・西澤保彦「時計じかけの小鳥」
子供時代の思い出の書店で買った古い本。そこに挟まっていた奇妙なメモ。思いがけない真実を導き出す西澤ロジック。
・霞流 一「タワーに死す」
怪獣映画の撮影現場で、セットの東京タワーに刺さった特撮監督の死体が発見された。足跡無き犯行の真相は?
・鯨 統一郎「Aは安楽椅子のA」
天涯孤独のアンナは聴力までも失ってしまう。おまけに勤務先の探偵事務所もクビになりそう。そんな時、思いもよらない助力が……。アンナは首なし死体の謎を解き明かせるか?
・麻耶雄嵩「氷山の一角」
芸能事務所のマネージャーが殺され、現場にはダイイング・メッセージが?! 血文字の謎と犯人を解き明かすべく、“名探偵メルカトル”が調査に乗り出す。
図書館本。
なんちゅーか、非常に不満の残る作品ばかりだった。
「砕けた叫び」
読者にそんなものわかるわけがない。しかも後出し。真相と最後の一文で笑うための話かな。頑張って推理しない方が吉。火村の反応がちょっと面白かったり、レギュラー陣は普段通りの安定感なので、ファンならどうぞという感じ。
「トロイの密室」
ん~、まあバカミス……でもないのかな。比較的マシな部類。マシなんだけど、面白いかというと、う~む。
「神影荘奇談」
真相は簡単に想像がつくんだけど、依頼人の設定がひどすぎる。電気もろくに通っていない村の出身って!? あんなことを真に受けるって!? そういうの、少年探偵団だけにしてもらえませんか……。
「命の恩人」
推理というよりサスペンスもの。しかし唯一まともな作品。結末も良かった。
「時計じかけの小鳥」
意外性を狙い過ぎて、むしろ不自然さが目立つ。変な教訓を入れずに、論理パズルで押し切れば良かったのでは。こういうのはイヤミスの上手い作家に任せましょう。
「タワーに死す」
科学とは何ぞや。もはやバカミスですらなく、オカルトの域。クツルーとラビドンの呪いじゃあ~!
「Aは安楽椅子のA」
色々なパロディが見受けられ、にぎやかではある。が、 主人公のかな~りおめでたい性格がキツイ。犯人じゃなく、よかったを探しててくれ……。ところで、これって推理なのか? AはアンチョコのA!(アンチョコとは違うんだけども)
「氷山の一角」
レギュラーキャラの人間性がアレだが、このアンソロジー内ではマシな内容。とはいえ快刀乱麻といったスッキリ感は無い。作者の仕掛けが透け透けなのもなあ……もしかして、わざとやってる?
好きな作家も何人か入ってるけど、こりゃアカンわ。読んでる最中はまあ、楽しいっちゃ楽しいので、好きな作家の文章を読みたいならいいかも。
- 感想投稿日 : 2022年6月11日
- 読了日 : 2022年6月11日
- 本棚登録日 : 2022年6月10日
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