盗まれたあした (ミステリー・BOOKS)

  • 小峰書店 (2002年6月1日発売)
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本棚登録 : 29
感想 : 2
3

 市民まつりでの合唱に参加していた小学6年生の裕太は、自分に向かって降ってくる光を目撃した。その翌日、1人で留守番中の裕太の前に自分そっくりな少年が現れ、裕太は家を追い出されてしまう。
 裕太は行き場に困った同じ境遇の6年男子たちと合流するが、自分たちの顔が刻々と変化し、本来の顔とは別物になっていることに気付く。やがて、1人、また1人と仲間が消えて行く……。
 彼らの身に何が起こっているのか? そっくりな偽者、そして謎の光の正体は?

 図書館本。
 21世紀に、ここまでベタなジュブナイルSFにお目にかかれるとは。廃れたもんだと思ってた。トレンドが一周して、むしろ新しい、とか?
 語り口もズケズケと容赦なく、どこか光瀬龍や筒井康隆を思わせる。比喩もかっ飛んでいて、『じいさんの歯ぎしりみたいな音』とか、『背中に巨大なナメクジをおしつけられたようなショック』とか。なかなか見もの。

 ちょっとぶっ飛んだのが、登場人物の名前。新太郎はまあギリギリあるかとは思うが、正吉?! 家庭用ゲーム機が普通にある時代に、小学生の名前が、しょうきち……。挿絵は今風の服装なのでギャップがすごい。いや、そういう名前の子がいても全く問題ないんだけど……。

 内容はコッテコテの昭和ジュブナイルSFなのだが、終盤が消化不良なので不満が残りそう。まあ、「えっ、それで解決?」みたいな結末も、ジュブナイルらしいと言えば、らしいのかな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2022年8月28日
読了日 : 2022年8月28日
本棚登録日 : 2022年8月28日

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コメント 2件

青格子さんのコメント
2022/09/02

面白そう!探して読んでみます。

晩白柚さんのコメント
2022/09/02

青格子様
コメントありがとうございます。
展開は結構地味なので、ご期待は控えめが吉かと思われます……。
起承転結の承までなら、結構面白いのですが。

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