良い問いは人を成長させる。
やなせたかし氏は、かつて書いた「まんが学校」のなかで、こんな問いをしていたそうだ。
「あなたは馬のさかだちが描けますか?」
いくら馬のデッサンがうまくてもそれは漫画ではない。
現実にありえない馬のさかだちを描けるかどうか。
さて、橋本治の書く文章は、ひたすらに問いが進んでいく。
よくありがちなつまらない答えに着地することなく、出かかった答えに対して、なぜその答えが出たのか、あるいはその答えは本当に正しいのか、ひたすらに問い続けて話が進んでいく。
ビジネスでは「結論から書きなさい」と言われる。
その観点でみたら、決して良い文章ではない、ということになるだろう。
いつまでたっても結論が出ず、問いばかりが進んでいく。
でも、この本は面白い。
自分では立てることのできない問いが次々と登場する。
問いを立てるというのは、一つの能力であり、その能力(才能)の深さに打たれながら読み進めていく。
才能というのはこういうものか、と思う。
ぜひ「この問いは、いままで自分が立ててきたことのある問いだろうか」ということを考えながら読み進めてみてほしい。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2013年10月17日
- 読了日 : 2013年10月16日
- 本棚登録日 : 2013年10月16日
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