向田邦子との二十年 (ちくま文庫 く 6-3)

著者 :
  • 筑摩書房 (2009年4月8日発売)
3.94
  • (7)
  • (16)
  • (9)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 166
感想 : 14
4

 寝る前にちまちま読み進めていたので、読み終えるのに随分と時間がかかった。
 読み終える次から内容を忘れていったので、詳しいことはさっぱり覚えていない。ただ、味わい深い本だったという印象は残っている。

 向田邦子のエッセイ・小説をいくつか読んでいるが、特に面識があるはずもないから、本人の性格を直接知っているわけではない。それにもかかわらず、この本の中で久世が解き明かす向田邦子の寂しい・悲しい一面などは、いづれも納得してしまうものだった。なんとなく彼女の著作から感じ取ってはいたものの、はっきりと著されることによって確かな印象となった。
 薄々感じていた彼女の一面がある一方で、新たに知った一面もあった。遅刻癖と、遅刻の度に費やされる決まりきった言い訳である。「出がけに電話があって、というのか、猫が逃げてしまって、というのか、他にもう少し知恵がないのかと思うくらい、この二つの言い訳で一生を賄った人」。この表現はなんとも秀逸で可笑しい。「遅刻」の話は、久世の嘆きっぷりや向田邦子の快活な態度が率直に著されていて、とても面白かった。

 それと、山川登美子の歌もよかった。今度本を探して読んでみよう。
 

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ
感想投稿日 : 2020年12月19日
読了日 : 2020年12月18日
本棚登録日 : 2020年12月19日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする