バルテュス、自身を語る

  • 河出書房新社 (2011年2月18日発売)
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本棚登録 : 47
感想 : 4
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かつての展覧会でバルテュスの絵の実物を観た時、少女たちを描いたものよりも風景画の方が素晴らしかったのが驚きだったのだが、バルテュスの子供時代の恩人がボナールだったことをこの本で知り、得心がいった。「少女に粘着する変質者かと思ったら、全然違っててボナールみたいだった」と思った当時の感想は間違っていなかったようです。バルテュス=少女愛のサディスト、孤高の変質者というよりは、ちょっと極端な趣味に走りすぎたカソリックの聖職者風情と捉えるべきでしょうか。この本で、ご本人が世間の誤解に対する抗弁をたくさん述べておられます。難点は、画像資料がないため話に出てくる絵画を自分の持っている画集に照らし合わせながら読まねばならないこと。なかなかの価値ある珍本ですが、バルテュスの画集を持っていない方にはあまりお薦め出来ないのが残念です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 図書館で借りた本
感想投稿日 : 2013年6月6日
読了日 : 2013年4月17日
本棚登録日 : 2013年6月6日

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