トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか

  • 山と渓谷社 (2010年7月23日発売)
3.92
  • (35)
  • (46)
  • (28)
  • (5)
  • (2)
本棚登録 : 269
感想 : 57
4

記憶に新しい2009年夏のトムラウシ山で8人もの方が亡くなった遭難事故。ひょっとすると「低体温症」という病気が一般的に知られるようになったのもこの事故以来かもしれない。

トムラウシのルポというよりは、事故報告書を参照しつつ、生存者のインタビューから事故の全貌を第一章と第二章で検証、以降は気象遭難について、低体温症の原因、病態、進行、防ぐために必要な心構えと準備について、各章ごとに専門家による丁寧な調査と考察をまとめた、サブタイトル通りの「低体温症と事故の教訓」そのままである。

低体温症がこれほど怖いとは。
条件によっては驚くほど短い間に発症・進行し、命をも奪ってしまう。
山登りをするなら、この知識はしっかり持ち万全の準備をしたうえでないと本当に怖い。

今まで山岳事故などで「凍死」と表現されていたものは、おそらく多くが「低体温症による死亡」だったのだろうな。八甲田山の雪中行軍による大量死もほぼこれか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説以外(エッセイ・ノンフィクションなど)
感想投稿日 : 2014年1月14日
読了日 : 2014年1月14日
本棚登録日 : 2014年1月14日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする