トヨトミの野望 小説・巨大自動車企業

著者 :
  • 講談社 (2016年10月19日発売)
4.12
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本棚登録 : 960
感想 : 112
5

「小説の形を借りたノンフィクション」と呼ばれ、現実のトヨタ自動車への圧倒的な取材力がこの小説にリアリティを生み出しており、その面白さの原動力となっているのは間違いない。
そのことを踏まえた上で、敢えてただのフィクションの小説として判断してみたいと思う。そうしてみてもやはり文句なしに面白い。
企業小説としてサラリーマンの悲哀や苦悩、トップのマネジメント論、権謀術数、社内政治などなど(この辺りは島耕作シリーズに通ずるものがある)盛り沢山。その上で描かれる2人の主人公=創業家以外からの初のサラリーマン社長武田剛三と創業家のプリンス豊臣統一の重厚な人間ドラマ。これらが小説として面白すぎるので、こんなことが本当に、現実にあったの⁇と半信半疑になってしまう。
だとしたら裏事情が面白すぎる。特にアメリカでのロビィ活動の下りは特に著者の力の入れようがすごく感じられて面白かった。あの国との間でこんな駆け引きがあったのか…。
安本記者と田野木記者のモデルは著者本人かな。

自分は誰タイプだろう?と考えながら読むのも面白いかも。自分は御子柴タイプだと思った。大きなことをやるリーダーの器ではないけど、既に敷かれた路線はつつがなく進む。親近感が湧いて最後まで嫌いになれなかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2022年8月23日
読了日 : 2022年8月23日
本棚登録日 : 2020年7月25日

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