絶唱の向こうにいろんな思いがあることを教えてくれる一冊。
前著では、すれ違い噛み合わなかった部分が目について
痛ましかったがこの本はしっとりした感じがどこかにある。
少し時間が空いたせいで、ゆっくりと振り返る事ができてこの本が出来たのかもしれない。
河野裕子さんのこころの振幅の激しさや
感じやすさの内実をよく知るご家族も苦しまれたろうが、
河野さんご自身も、伝えきれない思いと
時間の足りなさの中で、それでもご家族を深く愛し、
歌人としても精一杯の成果を残そうとしたことがわかる。
傷ついても唯一無二の人生の交差がある。
ぎりぎりの、「私」という居敷が保たれている限り、
ひとは愛する人と思いを交わしあいたいものなのだと知る。
私には?
その問いがすっくりと立ち上がってきて
どんな答えも、どこかに諦念が滲んだり、
自分が見ないことにしている寂しさがあることがつらい。
せっかく今日までを生きてきたのに。
終わりの日が近くなったなら、せめて。
愛しき言尽くして。
そう胸張って言える日々が欲しい。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2014年5月25日
- 読了日 : 2014年5月25日
- 本棚登録日 : 2014年5月18日
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