三国志(5)(吉川英治歴史時代文庫 37)

著者 :
  • 講談社 (1989年4月11日発売)
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感想 : 85
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吉川三国志の第5巻。
劉備軍の民衆を引き連れ魏軍から逃走するところから、周瑜の死のあたりまで。

遂に三国志のターニングポイントともいうべき赤壁の戦いが描かれることになるが、ここのくだりはやっぱり面白い。
ただ、漁夫の利を得る玄徳&孔明は結構感じが悪い。孔明にとって最大の見どころの一つだが、この巻での印象は「天下の大才にしてしたたかな国泥棒」。
孔明の暗殺を度々計る周瑜を悪者と見る読者も多いと思うが、私は辛酸を舐め続ける彼の方に好感をもてた。

また、狡猾な諸葛亮に対して呉の重臣魯粛の真っ直ぐないい人ぶりは凄まじい。いい人というか人がいい。三国志演義の「king of お人よし」だ。孫権と周瑜にお使い担当にされ、人の良さから玄徳と孔明に度々騙され続ける様はとても悲しい。
頑張れ魯粛。負けるな魯粛。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 吉川英治
感想投稿日 : 2012年5月8日
読了日 : 2012年5月8日
本棚登録日 : 2012年5月4日

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