最後の恋 (角川文庫 き 22-7)

著者 :
  • KADOKAWA (1999年9月1日発売)
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本棚登録 : 214
感想 : 18
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ドラマ「最後の恋」のノベライズ。
真面目で優しく、繊細な心を持ったごく普通の青年・夏目。
弟思いで、自分よりも弟のことを優先して考えてしまうような優しさを持つアキ。
弟を助けたい一心でギリギリの選択をしてしまうアキだけれど、それがとても哀しい。
塗り潰された写真を除光液できれいにしていく夏目・・・。
何気なくやったことかもしれないけれど、アキにとっては救われる思いがしただろう。
まっすぐな思いだけでは容易に乗り越えられないことだってある。
相手を思うがゆえに負担になってはいけない、大切な人の未来を閉ざしてはいけない。
そう考えるのも自然なのかもしれない。
でも、潤を何とかして救いたいという純粋な夏目の思いが、残り少なかった潤の人生を明るいものに変えたのは事実だ。
未来に夢を持つ。
未来を夢見ることができる。
それは本当にしあわせなことだろう。
優しいからこそ互いに惹かれあい、優しいからこそ互いに傷ついていく。
潤が残していった思いが、遠ざかっていた二人の背中をそっと後押しする。
哀しく切ない物語だったけれど、結末にホッと救われる思いがした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 恋愛小説
感想投稿日 : 2017年4月4日
読了日 : 2017年4月4日
本棚登録日 : 2017年4月4日

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