恋をすると誰もが臆病になる。
まして以前の恋が上手くいかずに終わってしまっていたら余計に慎重になるだろう。
嫌われたくない、もう二度と失敗はしたくない。
好きな気持ちが強ければ強いほど、人は臆病になっていく。
真実とはいったい何なのだろう?
知っていることだけがすべてだと思い込んで悩んだり苦しんだり。
本当は知らないだけで真実は他にあるというのに、目の前に見えている事実だけが真実だと思ってしまう。
リアルな生活の中にもそんなことは多いのかもしれない。
明里にどこか棘のあるような態度を取る郁実も心の中に癒えぬ傷を抱えている。
明里自身も、前に進んでいく勇気をいまひとつ持てずにいる。
揺れ動く気持ちは、きっと好きな人のひと言ですっと落ち着くべきところに居場所を見つけるのだろう。
心の痛みを知っている秀司だからこそ、明里に対する態度もいつも優しく迷いがない。
二度と後悔はしたくない。
その思いは秀司にもあるのだから…。
不思議な謎の向こう側にあるのはいつも温かな人の思いだ。
このシリーズの魅力はそんなところにあるのだと思う。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
一般小説
- 感想投稿日 : 2017年3月31日
- 読了日 : 2017年3月31日
- 本棚登録日 : 2017年3月31日
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