作品の題材になっているのは2008年6月8日に秋葉原で実際に起きた通り魔事件である。
けれど、作品の重きは犯人・高橋の心情ではなく、交渉人である渡瀬の交渉過程におかれている。
最後まで読み終えてもなお、作者である五十嵐さんの伝えたかったことがわからない。
いったいこの作品で何が言いたかったのか。
繰り返される高橋と渡瀬の交渉。同じことの繰り返しでページが埋まっていく。
もっと違った視点から書けなかったものだろうか。
唯一、「なるほど」と思ったのはタイトルのみ。
「誰でもよかった」。
犯人にも警察側にも、その誰かを大切に思う人たちがいる・・・とは考えていない。
あくまで「命のある人間」がターゲットならばそれだけで条件に当てはまった。
性別も年齢も、職業も、すべては関係ない。
「誰でもよかった」のだから。
読んだ!!という充実感もなく、後味の悪い作品だった。
五十嵐さんの作品はよく読むので、本当に残念な気がした。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
犯罪小説
- 感想投稿日 : 2017年2月27日
- 読了日 : 2017年2月27日
- 本棚登録日 : 2017年2月27日
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