誰でもよかった (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎 (2014年10月9日発売)
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本棚登録 : 386
感想 : 36
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作品の題材になっているのは2008年6月8日に秋葉原で実際に起きた通り魔事件である。
けれど、作品の重きは犯人・高橋の心情ではなく、交渉人である渡瀬の交渉過程におかれている。
最後まで読み終えてもなお、作者である五十嵐さんの伝えたかったことがわからない。
いったいこの作品で何が言いたかったのか。
繰り返される高橋と渡瀬の交渉。同じことの繰り返しでページが埋まっていく。
もっと違った視点から書けなかったものだろうか。
唯一、「なるほど」と思ったのはタイトルのみ。
「誰でもよかった」。
犯人にも警察側にも、その誰かを大切に思う人たちがいる・・・とは考えていない。
あくまで「命のある人間」がターゲットならばそれだけで条件に当てはまった。
性別も年齢も、職業も、すべては関係ない。
「誰でもよかった」のだから。
読んだ!!という充実感もなく、後味の悪い作品だった。
五十嵐さんの作品はよく読むので、本当に残念な気がした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 犯罪小説
感想投稿日 : 2017年2月27日
読了日 : 2017年2月27日
本棚登録日 : 2017年2月27日

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