「毒親」の子どもたちへ

著者 :
  • メタモル出版 (2015年2月23日発売)
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本棚登録 : 137
感想 : 14
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帯に「毒親論を手放し、その先へ進むために!」とあるので、毒親から逃れたその先の話なのかと勝手に思ってしまいました。

本書の実に3分の2以上のページを割いて、「自分の人生がうまくいかないのを親のせいにしていないか」「毒親毒親と言っている人は反抗期に乳離れできずに親を責めている人と同じ」「すべての親も見方を変えれば毒親になりうる。逆に毒親じゃない親なんているのか。」と、「自称毒親持ち」の人を断罪しています。

読んでいるだけで悔しくて吐き気がして著者に対する怒りすら湧いてしまいました。


私は、自分の人生がうまくいかなかったとき、人とのコミュニケーションの取り方で悩んだとき、その原因の一端が親にあると気付いた。アダルトチルドレン関係の本を読んで慰められ、「毒になる親」を読んで親と戦ったこともある。それでも親は変わらない。変えるなら自分自身しかないと思い、親と絶縁して(距離を置いて)自分の人生を取り戻した。今は幸せな生活を送っている。

それでも、親の言動が時々フラッシュバックしてつらい時がある。幸せなはずなのに誰かに責められているような気持ちになる時がある。絶対にああはならないと誓った自分の親とそっくりな口調で子供を叱りつけてしまい、そんな自分に気付いて愕然としてしまう時がある。このまま一生自分の親とは絶縁したままなのかと瞬間的なさみしさや不安や絶望に襲われることがある。

そんな状態を何とかするヒントになるのかもしれない、そう期待してしまった。毒親論の「先」にある生活についての本かと思った。

しかし全然違った。

この本は、「毒親論」の「先」ではなく「前」に、まずは毒親毒親と決めつけようとするのではなく、そうじゃない可能性を考えてみるのに良いかもしれない。そして自分自身が変わってみる。もしその時点で救われる人がいるのなら、毒親論に進む必要はないですね。

ただ、多くの人はそれができないから「自分の親は毒親だ」と認定することによって、人生の推進力を得るのだと思う。「毒になる親」を読んですでに親と対決し、現在は自分の安定した生活が(とりあえず)送れている私には全く必要のない本でした。


最後の一段落、「毒親についての話はいくらでも聞くけれど、そんなことをしても何にもならない。自分自身のパーソナリティの発達の可能性を信じ、今できることから始めてください。方法がわからないなら、直接私に聞いてください。みなさんたちと関わってきたおかげで分かったことをお伝えします。」って、その方法が知りたくてこの本を買った人も多いのではないかと思われるのに、具体的な方法やヒントは見つけられませんでした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 毒親
感想投稿日 : 2015年2月27日
読了日 : -
本棚登録日 : 2015年2月27日

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