『くものきれまに』では、他のヤギに自分がどう見られているかを知って
落ち込んだガブだったが、
今度は、オオカミのテリトリーに近い場所にメイを呼んだことにより、
メイが、オオカミからどう見られているのかを
意識するような出来事が起こる。
きりのなか、向こうから来る相手が気になってしょうがないメイ。
ガブだったらいいけれど、他のオオカミだったら?
きりで見えないから声を出してはみたけれど、それもまた危険。
お互いは、もうすっかり信頼しあっている。
危ない場所に来たメイに、なにかあったら助けに行くと誓ったガブ。
しかも、お互いが、そのセリフを言うところを回想で思い出す。
ますます恋人達のように思い合っている。
こんな危ない場所にメイを呼んだのは、わけがあった。
ガブには見せたいものがあったのだ。
この谷から見る月をガブは愛していて、
それをメイと分かち合いたかったのだ。
二匹のオオカミに襲われそうになったメイをなんとか助け出し、
飛び込んだのは、ちいさなどうくつ。
「あらしのよる」と同じような闇が訪れる。
闇の中では取り繕わずに本当のことが言える。
ガブは不器用だが、正直な気持ちを口にするタイプで、
ここでもまた言われてみたいような言葉を口にする。
さて、本能を超えて、お互いの種族の違いを超えて、
どこまで大切に思えるのか、守れるのか。
究極の、まっすぐな問いが、ここにあった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
絵本
- 感想投稿日 : 2010年1月17日
- 読了日 : 2010年1月17日
- 本棚登録日 : 2010年1月17日
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