大型版 あらしのよるにシリーズ(4) きりのなかで

  • 講談社 (2002年12月4日発売)
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5

『くものきれまに』では、他のヤギに自分がどう見られているかを知って
落ち込んだガブだったが、
今度は、オオカミのテリトリーに近い場所にメイを呼んだことにより、
メイが、オオカミからどう見られているのかを
意識するような出来事が起こる。

きりのなか、向こうから来る相手が気になってしょうがないメイ。

ガブだったらいいけれど、他のオオカミだったら?

きりで見えないから声を出してはみたけれど、それもまた危険。

お互いは、もうすっかり信頼しあっている。

危ない場所に来たメイに、なにかあったら助けに行くと誓ったガブ。

しかも、お互いが、そのセリフを言うところを回想で思い出す。

ますます恋人達のように思い合っている。

こんな危ない場所にメイを呼んだのは、わけがあった。

ガブには見せたいものがあったのだ。

この谷から見る月をガブは愛していて、
それをメイと分かち合いたかったのだ。

二匹のオオカミに襲われそうになったメイをなんとか助け出し、
飛び込んだのは、ちいさなどうくつ。

「あらしのよる」と同じような闇が訪れる。

闇の中では取り繕わずに本当のことが言える。

ガブは不器用だが、正直な気持ちを口にするタイプで、
ここでもまた言われてみたいような言葉を口にする。

さて、本能を超えて、お互いの種族の違いを超えて、
どこまで大切に思えるのか、守れるのか。

究極の、まっすぐな問いが、ここにあった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 絵本
感想投稿日 : 2010年1月17日
読了日 : 2010年1月17日
本棚登録日 : 2010年1月17日

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