ボックス21 (ランダムハウス講談社文庫 ル 1-2)

  • 武田ランダムハウスジャパン (2009年4月10日発売)
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本棚登録 : 74
感想 : 13
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デビュー作「死刑囚」のヒットを受けて書かれた2作目で、多彩な登場人物の中から刑事を主人公としてシリーズ化されたようだ。とはいえ、この作品も一部前作の登場人物が絡みながらも多面的な視点で描かれていること、女性に対する暴力、今回は人身売買と言う社会的テーマが事件の前面に押し出されている構図は同じ。緻密な文章、掘り下げられたキャラ造形も同じ。そしてこれも前作同様残念(テーマと絡む以上仕方がないかもしれないが)なことに性暴力に対する情け容赦のない描写は読んでて痛くなる。さらに刑事の切ない過去まで描かれて誰もからも辛い物語だが、プロット、文章のうまさで一気に読んでしまう。社会的問題を描いたスェーデンが舞台の刑事小説(しかも少しずつ群像化しつつある)ということでマルティン・ベックシリーズと比較されることが多いようだが、テイストはヴァランダーシリーズに近い。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: サスペンス
感想投稿日 : 2015年1月21日
読了日 : 2015年1月19日
本棚登録日 : 2015年1月21日

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