吸血鬼ドラキュラ (1963年) (創元推理文庫)

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感想 : 3
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 中学生以来の再読。田中芳樹/赤城毅『中欧怪奇紀行』に、赤城「平井呈一先生の古風な訳だと、『うちはハプスブルグやロマノフのような……』」 田中「『できぼし大名とは違うんだ』と」。そこを楽しみにページを繰っていたら、当該の発言は「げにわがドラキュラ家こそは(中略)ハプスブルグ家やロマノフ家のごとき、俄か大名の及びもつかぬ、炳乎たる記録を誇る貴き家柄なのじゃ」
 お二人が言っているのは、抄訳『魔人ドラキュラ』なのだろうか?
 ほか、田中「黒ずくめの服というのは映画で作られたものですね。原作にはありません」。ここは明らかに間違い。しっかり「頭のてっぺんから足の先まで、色のついた物は何一つつけていない、全身黒衣ずくめ」とある。
 こういう指摘が出来るのだから、全548ページ読破した甲斐があった。
 感想。ドラキュラ伯爵のマメマメしさに感心する。みずから馬車を回して、弁理士ハーカーを出迎えにゆく。手ずから夜食をこしらえて振る舞う。英語をきちんと学習し、正規の手続きを経てロンドンの地所を買う。大物らしくデンとかまえていればいいものを……。
 このあと、ハマープロ版およびコッポラ版の映画を鑑賞するのが楽しみだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 中古品
感想投稿日 : 2020年12月9日
読了日 : 2020年12月8日
本棚登録日 : 2020年12月9日

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