ほんわかした表紙もあいまって、
「お母さん」ではなくて「私」として生きよう!みたいな、そういう本かと思っていたが
けっこう個人の暗部に切り込んだ対談の本だった。
人格や性格、依存の根本は実は幼少期の家庭にあるという話、ものすごく怖いけどたしかにそういうところはあるなあ。
私には考えも及ばないような家庭環境に置かれた患者さんも出てくる中、精神科医の先生がまるごと受け止めてくれる。
まず話を受け入れる、許容する。
根本的解決というよりは心の持ちようを助言してくれるようなお話の仕方にホッとした。
私も母との距離感に悩むこともあり、でもそれを無理やりどうにかしなくてもいいのかと思った。
「アルコール依存症の患者です、18歳の息子がなかなか自立しなくて…」
という悩みに対しての斉藤先生の言葉がとってもよかった。
「あなたの息子さんは、あなたがアルコール依存の道を通って、違う人物に変わっていく、という変容をそばで見ることができる。他の立派なお母さんの子どもよりも、いろんなものが与えられると思います。
人間であればこそ、生きているからこそ悩める。
あなたはそれを、「アルコール依存」なんてくだらない問題に表現しちゃってる。しらふになると、もっと直に「生きてることがつらい」って感じがしますでしょ。その「きつい」って感じが、実は生きてることの喜びそのものでしょ。それを、子どもと共有するんですよ。」
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年4月19日
- 読了日 : 2022年4月19日
- 本棚登録日 : 2022年4月19日
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