短編集。上野(群馬県)と信濃(長野県)の境にある狭隘な山峡を舞台に繰り広げられる物語。北条、上杉の二大勢力に挟まれた小豪族(羽根尾輝幸)の生き様、権謀術数、豪胆さを見事に描ききっている表題作。その作品からは、戦国時代の男の美風がよく伝わってくる。真田昌幸という戦国屈指の謀略家も登場し、物語は急展開。
この話は歴史上は枝葉部分だけど、こういう地方史によってこそ、時代の雰囲気をつかめるものだと思う。
海音寺氏がこのようなテーマをどんな史料から見つけてきたのか非常に興味深い。
表題作の他、小説、史伝が数編おさめられていて、これによって歴史知識を深められる秀逸な作品集です。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
歴史小説・時代小説・史伝文学
- 感想投稿日 : 2011年4月18日
- 読了日 : 2011年4月18日
- 本棚登録日 : 2011年4月6日
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