一度も植民地になったことがない日本 (講談社+α新書)

  • 講談社 (2007年7月20日発売)
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ヨーロッパに長く暮らす国際結婚の筆者が語る、日本とヨーロッパの違いについての一冊。タイトルは直接的には旧植民地出身者から"あなたのマスターズ・カントリーは?"と聞かれたエピソードからだろうが、本質的にヨーロッパ文明の枠外で独自性を保って今日まで至った日本の姿を表現したものだろう。
上記の一件について個人的には、植民地支配を受けなかった国が日本含め片手に足りるほどしかないことは知っていたが、旧植民地の人たちに旧宗主国への意識がそんなに残っているものだとは知らなかった。
ヨーロッパ人のそういうことへの鈍感さや、日本への一方的な言い分などマイナス面も含め、日欧双方の違いを筆者の経験をもとに語っており、歴史理解については甘い点もあるとは思うが、両方を知る人の生の声として貴重だと思う。
終盤の日本文化紹介イベントのエピソードは正直ショックだったが(相手が笑顔で喜んでくれてもそれは所詮社交辞令レベル)、彼我の違いをシビアに認識して、おもねることなく、かといって過度に我を通すことなく、交流への意識を高めていけたらよいと思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセー
感想投稿日 : 2023年8月17日
読了日 : 2023年8月17日
本棚登録日 : 2023年7月30日

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