映画版を観てからの原作。
違いがわかって面白かったです。
以下ネタバレ?アリマス
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タイトルの意味は真逆!でした。映画版はゼロから発散のイメージでしたが、原作は逆にどんどんゼロへゼロへ焦点が定まっていく印象です。
これはある女性の、ゼロ=「心の荒廃」(p380)へ焦点をあてていった悲劇、かなと思いました。
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社会問題から悲劇が起こると我々は、じゃあ被害者はどうなるのか?同じように生きて犯罪を犯さなかった大多数の人たちの立場は?とすぐ考えます。でもこれは現代人の視点かも知れません。
被害者の妻、主人公禎子の驚くべき言葉があるのです。
「夫人が、自分の名誉を防衛して殺人を犯したとしても、誰が彼女のその動機を憎みきることができるであろう」(p381)
えー(O.O;)(oo;)まさかの遺族が加害者擁護(@ ̄□ ̄@;)!!
当時誰も突っ込んでいない?のか、それともみんな納得だったのか…。
しかし、この発言があることで作品全体がよりゼロの焦点へ定まっていく…。そんな効果を上げていることも見逃せません。
映画版はさすがにこの辺りを〈現代風〉に脚色しておりましたが…。(ラストで佐知子の源氏名を叫ぶシーンが印象的でした)
小説版では、時刻表をもとに推理する場面があり清張さんらしくて個人的にツボでした。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年3月12日
- 読了日 : 2023年3月12日
- 本棚登録日 : 2023年3月12日
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コメント 3件
yhyby940さんのコメント
2023/05/18
lem@本郷文学散歩編 さんのコメント
2023/05/20
yhyby940さんのコメント
2023/05/20