地方にこもる若者たち 都会と田舎の間に出現した新しい社会 (朝日新書)

著者 :
  • 朝日新聞出版 (2013年6月13日発売)
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2013.6刊行で読了が2014.1。「最近の若者は内にこもりがちで外に出ようとしないらしい・・若者よ、地元を出よ、日本を出よ」と思う人たちにこの本を読んでほしい、と説く。

著者は1976年岐阜県生まれ東大卒で、現甲南大学准教授(出版時点)なので地方から東京へ出た人だ。岡山県倉敷市近郊の社会調査や80年代からのJポップの歌詞の考察などを通し若者の行動、流動を考察。

そこから導きだされたのは、「地方にこもる若者たち」はすでに、これまでとは違うかたちで外に開かれはじめている。若者は現在の地元で、これまでとは違う形で外に開かれはじめている。そして「昔は~」と思う昔の人こそ、実は今の若者より開かれていないのかもしれない、と説く。

2011年に岡山県倉敷市を中心に、地方に生きる若者の実態を、余暇、人間関係、雇用の三つを中心に調査しているが、そこはまさに「ファストフード化」した地方都市だ。倉敷市には大規模ショッピングモールが90年代後半にできそこで映画、ファッション、食べ物などひととおりそろう。鳥取県境の町に住んでても車で1,2時間かけ休日に倉敷に集う。ここらへんの実態は自分の今の休
日の過ごし方と同じだ。

「今の若者は」と言う前に、70年代、何が何でも東京に行きたい、と強く思った自分たち年寄りは今の地方の変化に気づかなかった、ということか。インターネットもあり、ショッピングモールもあり、ほどほどに地方で事足りるのだ。東京も高度化された一つの地方、という見方もできる。

地方を「ファストフード化」以前、以後、と分けて考えた方がいいのでは?と思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本・政治・経済・社会問題・犯罪・民族
感想投稿日 : 2017年12月6日
読了日 : 2014年1月12日
本棚登録日 : 2014年1月12日

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