藤原道長の日常生活 (講談社現代新書)

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  • 講談社 (2013年3月15日発売)
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藤原道長の書いた日記「御堂関白記」
藤原実資の「小右記」
藤原行成の「権記」に記されているさまざまな出来事を読み解き、藤原道長の公的・私的な側面、また感情面や精神世界にまで踏み込み、道長の実像に迫る。・・とのはじめにの言葉。

「大鏡」や「栄花物語」といった歴史物語、「今昔物語集」などの説話集にも道長は数多く登場するが、これらは特定の史観によって創作されたり改変されたりした箇所も多いので、この本では使用しないとある。

道長の感情、宮廷生活、家族、内裏や邸宅、寺社などの空間、京都の町、道長の精神世界、と順に記述。巻末には年譜、系図、京都の現地図に平安時代の区割りをかぶせた地図、平安宮内裏図、などもあり理解を助ける。参考文献も載っている。

しかし、第1章で挫折。人物関係が入り組んでついていけないー  

「御堂関白記」はあくまでも自分の忘備録なので、早く破却するように、と見返しにあるという。そこが当時から貴族社会で役立つようにとの認識のあった「小右記」や「権記」とちがうところだという。現存のものは長徳4年から治安元年(1021)にいたる33才から56才までの記事。自筆本は藤原家が後に近衛家と九条家に二家分立した際に二分割され、今は近衛家の陽明文庫にある14巻しかないという。それ以外の自筆本は失われたとある。

この著者の自筆本が残っている、というのが「御堂関白記」の最大の特色という。道長は悪筆で文体も破格なのだという。写真がのっているが曲がっていたりやはり忘備録か、と思わせる。が著者によると、道長は実務を積まないうちに出世したので、漢文に習熟する暇が無かったことが独特の文体を作ったとある。

道長の性格
よく泣く。自賛し、冗談を言う。かと思えば、怒りっぽく相手を罵倒する。かとおもえば気弱。約束を忘れる。小心。・・いいとこのお坊ちゃん的性格? 小心と大胆、繊細と磊落、親切と冷淡、寛容と残忍、協調と独断、の二面性と言っています。

どうもこうも大河ドラマからの興味なので、柄本祐さんの顔がちらついています。「小右記」を著したのは実資・・ロバート秋山さんなんですよね。

「御堂関白記」は2013年ユネスコの記憶遺産(世界の記憶)に登録された。・・初めて知りました。
https://webarchive.unesco.org/web/20220331175014/http:/www.unesco.org/new/en/communication-and-information/memory-of-the-world/register/full-list-of-registered-heritage/registered-heritage-page-5/midokanpakuki-the-original-handwritten-diary-of-fujiwara-no-michinaga


2013.3.20第1刷 2013.4.30第3刷 図書館

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本・歴史(日本史)
感想投稿日 : 2024年2月6日
読了日 : 2024年2月7日
本棚登録日 : 2024年2月6日

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