緑衣の女

  • 東京創元社 (2013年7月11日発売)
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「湿地」に続いてアーナルデュル・インドリダソンのエーレンデュル刑事もの。これでもか、というくらいの暴力、人間のえぐい心理。それがアイスランド、北、暗い、寒い、という先入観で灰色にしみ込んでくる。

今回はレイキャビクの周縁部、第二次世界大戦から戦後にかけて住宅地として広がったところが舞台。初めの骨発見の場面が衝撃的。8歳の男の子の誕生パーティーで赤ん坊が何かをしゃぶっている、それが人間のあばら骨だったのだ。これはこの男の子が近所の住宅建築現場で見つけたものだった。

その骨は誰か? 第二次世界大戦開戦前夜から終戦後あたり。そこで生活していた家族がいた。夫婦はともに生まれてすぐ両親を亡くし、親戚や里親のもとで転々として育つ。女性は最初の子供の相手は子供が生まれる前に海で遭難して死んだ。・・寒いアイルランド、きっと若死にする人が多かったのかな、などと先入観で読んでしまう。が、あの時代は今ほどの長生きではないか。

とにもかくにもこれでもか、という夫の暴力が描かれる。最後まで読むと夫の幼少期の場面もあり、幼少期の愛情の欠如が問題なのか、と思わされる。またエーレンデュルの亡くなった弟のことも描かれ、それがエーレンデュル刑事の生活に影響を及ぼしている描き方。

2003発表 アイスランド
2013.7.12初版 図書館

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本・ミステリー 海外(英米以外)
感想投稿日 : 2023年3月14日
読了日 : 2023年3月13日
本棚登録日 : 2023年3月14日

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