たぶん中学生の頃から知っていた題名。図書室で背表紙や表紙を何度となく見ていたがやっと読んだ。1907年(明治40年)発表という大古典なのだが、2020年の新訳では、訳者が現在の読者にも読みやすいようにテンポのいい訳文をこころがけた、というだけあってけっこうなページだったが、すらすら読めた。
発見された時は密室だったが、殺人の行われた時はどうだったのか? ネタバレしてます? 先日読んだディクスン・カーの「夜歩く」も密室もので、謎解きは同じだった。でも密室で殺されかかった令嬢が死ななかったのでよかったなあ。父とともに化学の実験にいそしみ幾多の求婚もはねつけてきた35歳になろうとするマティルド。最後に、みごと謎解きをした、新聞記者の弱冠18歳のルルタビーユがちょいちょいと理由を述べる。ほー、人はみかけによらないし、部屋だけでなく、人間にも秘密はあるんだねえ、となり終幕。
ミステリーを読む時、トリックよりは人間関係や殺人の理由に興味がある。この点から言うと、やはり1907年時点の令嬢をとりまく世情だったかなあ、という時代感もする。が、最後に、新たな事実の提示も示され、解説によると、「黒衣婦人の香り」という続編があり、そこでは謎解きをしたルルビターユの出生の秘密を明らかにしているという。
マティルダ父子はフランスの城を買い、実験をするのに離れを作った。その実験室に隣り合う部屋が「黄色い部屋」と呼ばれる部屋。ゴッホの絵のような全部真っ黄色の部屋をイメージしていたのだがそうではなく、黄色い敷物があった、と文中にあった気がするのだが、あとでその箇所が見つからなかった。そうでしたよねえ?
1907発表 フランス
2020.6.30初版 図書館
- 感想投稿日 : 2022年8月11日
- 読了日 : 2022年8月10日
- 本棚登録日 : 2022年8月11日
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