5つの短編集。いずれも見えないはずのものが見えたり、霊感とか、そういう感覚が書き込まれている。「いま見てはいけない」「真夜中になる前に」あたりがよかった。
「いま見てはいけない Don't look now」1970
ベネチアに旅行に来た夫婦。そこで双子の老夫婦に出会う。夫妻には男と女と子供がいたが、幼いうちに女の子を失っており妻はいまだ喪失の絶望から立ち直っていない。寄宿舎にいる男児が盲腸だとの連絡を受け、妻はイギリスに戻るが、夫は戻ったはずの妻の姿を水路に見るが・・ 表紙の絵はこの情景を描いたものだろう。「赤い影」として1973年に映画化。
「真夜中になる前に Not after midnight」1971
寄宿学校で古典を教えていた私。教師をやめ趣味の油絵を描くためにクレタ島にやってきた。バンガロー形式の宿ですぐ隣の小屋は日に焼けた男と耳のきこえないという妻。毎朝海に釣りにでかける。岬で二人を見つけた私は二人がやっていたのは釣りではなかったのが分かるが・・
「ボーダーライン A border-line case」1971
突然亡くなった父の死の謎を解くために、ダブリンから百キロ、湖の点在するバリーフェインにに住む父の旧友をたずねたシーラ。荒涼とした風景を想像しながら読む。着いてみると、さらにトラー湖のなかの小島に住んでいるという。
「十字架の道 The way of the cross」1971
急病に倒れた牧師のかわりにエルサレムへの24時間ツアーの引率者に次々と降りかかる災難。多様な参加メンバー。
「第六の力 The break through」1966
ロンドンから遠く離れた研究所で行われていた研究とは?
原題:DON'T LOOK NOW AND OTHER STORIES
2014.11.21初版 図書館
「真夜中すぎでなく」三笠書房1972刊と収録作は同じ。今見てはだめ、真夜中すぎでなく、シュラの場合、十字架の道、第六の力
- 感想投稿日 : 2022年7月25日
- 読了日 : 2022年7月24日
- 本棚登録日 : 2022年7月21日
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