1章と2章のみ読む。
ユダヤ人の根底に流れる思想的なものの断片は、知ることができた。
メモ
離散か定住かという考えがユダヤ人の歴史を貫いており、どちらの立場をとるかによって歴史叙述もまったく違ってくる。ユダヤ人の中でもこの二つの流れは対立したままで、現在に至るまでその対立は解消されていないと言える。
「捕囚」ヘブライ語でガルート=異常な状態なので元の故郷に帰るべき。
「ディアスポラ」ヘブライ語でテフツォート=植物の種が撒かれるように散らばる。
・シオニズムはガルートに力点を置く。
ユダヤ教の「罪」の概念は、キリスト教的な「原罪」とは全く異なる。ユダヤ教では神の決まり、つまり法律を破ることを「罪」といっているだけで、非常に単純なものである。旧約聖書に書かれていることから逸脱することを「罪」と呼んでいるだけにすぎない。キリスト教のように内面の問題は問わない。
ユダヤ人の歴史観
個人の人生で結局のところ残るのは思い出である。ユダヤ人にとっては「出エジプト」の思い出である(加藤隆)を引用して、
再び我々に出エジプトのような奇跡が起きるかもしれないと、世代と時代を超えて延々と出エジプトの記憶を伝えてゆく。この記憶(思い出)がユダヤ人の歴史観の基本にある。そう信じることによって、1948年のイスラエルの国家建設まで待っていたわけである。
臼杵陽:1956生。東京大学大学院総合文化研究科国際関係論博士課程単位取得退学。在ヨルダン日本大使館専門調査員、佐賀大学助教授、エルサレム・ヘブライ大学トルーマン平和研究所客員研究員、国立民族学博物館教授を経て、現在日本女子大学文学部史学科教授。京都大学博士(地域研究) 専攻は中東地域研究。
2020.1.15第1刷 図書館
- 感想投稿日 : 2024年3月9日
- 本棚登録日 : 2024年3月9日
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