犬好きの身としてはとてもうれしい犬が主人公の本。しかも出てくるのは自分の好きなハスキーとかああいった見かけの犬だ。
「ブラウン・ウルフ Broun Wolf」(エヴリボディズ・マガジン1906.8月号)
夫婦二人で暮らす家にどこともなくやってきたウルフ。だが飼いならすと北へ逃げてしまうのを何度も繰り返す。ある日北から男がやってきた・・
解説によると、この犬は1905年にロンドンが行った船旅に同行させた、クロンダイクの住人から譲り受けた犬がモデルとのことだ。
「バタール Batard」(コスモポリタン1902.6月号)
「地獄の申し子」の犬、バタール。飼い主も犬の鬼気を感じつらく当たるが、バタールは逃げない。
「バタール」の姉妹編として「野性の呼び声」を書く気になったという。
「あのスポット Yhat Spot」(サンセット1908.2月号)
こちらも一筋縄ではいかない意思を持った犬と飼い主との話。
とてもずるがしこい犬で大金をはたいたのに橇はひかない、肉は盗む。飼い主は犬を売り飛ばすが、買い手もすぐに音をあげ手放してしまう。そして犬は元の飼い主のところに戻ってくる。何度もこれを繰り返し、今は定住した俺の家に居座っている。しかしその性ワルの根性はそのままだ。
「野性の呼び声 The Call of the Wild」(週刊誌ザ・サタデイ・イヴニング・ポスト1903年夏に4回に分けて掲載)
小学高学年の頃読んだことがあった。児童向けの本だったのだろうが、ずっと後まで今も心に残っている。といって覚えているのは「・・それは野生の呼び声だった」というような最後の所。最初、家に飼われていたのも、途中橇をひいたのも忘れていた。改めて読んでみると、ほんとにおもしろい。犬じゃなく「ベン・ハー」みたいな逆境をものともせず、といったスーパー人間みたいだ。ほかの犬たちもそれぞれ個性的だ。確かに犬はそれぞれ性格が異なる。書かれた当時のカナダの金鉱の状況、グーグルで地図を見ながら、ユーコン川やドーソン、ホワイト峠など地図や写真でみながら想いを馳せるた。
最後の主人、ソーントン、心から好きになれた主人なのに、東へ幻の金鉱を探しに行く時点でなんとなくいやな予感はしたのだが・・ このソーントンや橇引き人、犬の仲買人含め人間をも自然の中で生きる点になっている気がした。
「火を熾す To Build a Fire」(1902年版)(Youth's Companion1902.5.29日号)
後に1908年に書き直し?同じ「火を熾す」として発表。これは断然後の1908年版のほうがいい。この1902年版は、カナダクロンダイク地方を歩く男が行程で火を熾す、という設定は同じだが、犬は出てこず、単なる男の思い出話といった趣。ので、結末も異なる。犬がいるといないのとではこうもちがうか。
2017.10.28第1刷 図書館
- 感想投稿日 : 2021年9月28日
- 読了日 : 2021年9月27日
- 本棚登録日 : 2021年9月14日
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