伯林蝋人形館

著者 :
  • 文藝春秋 (2006年8月1日発売)
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本棚登録 : 176
感想 : 25
4

複数の物語とそれぞれの作者略歴から、段々と全体像が浮かび上がってくるのが面白い。
最後まで読んでから最初の物語をもう一度読み返したら、より輪郭がはっきりしてみえた。

という感想を過去に書いていたのだけど、どんな話だったっけと久しぶりに再読したら、これじゃ内容を断片的にしか思い出せないはずだわと思ったのでもう少し書き足す。

第一次世界大戦から相次ぐ内戦で疲弊するドイツを生きる男女6人の交錯する人生。彼らの物語は真実か創作か願望か。惑わされる。
アルトゥールを取り巻いていながらも、なんとなくずっとヨハンが中心にいると感じていた。ヨハンの詩のせいかもしれない。

読み進めて真実が見えた後は、虚構が愛しく思えてしまう。
壊れて欲しくないけど壊れるのも見てみたいという、あやうい感覚を呼び起こされた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー・サスペンス
感想投稿日 : 2016年8月20日
読了日 : 2016年8月17日
本棚登録日 : 2016年8月20日

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