新宿二丁目
2020.3.13読了
本書は序章もあるように、「なぜ、どのように、そしていつ頃、新宿二丁目は"二丁目"になったのか?」という問いを探る一書である。
新宿二丁目に所謂「ゲイバー」が集まった経緯を、関係者への取材、当時の関係雑誌、当時の小説などからその歴史をていねいにひもといている。
特に、「新宿」という街がカウンターカルチャーやアングラ文化の渦の中心であり、『あらゆる種類のヒトやモノを無差別に受け入れる』場所であったことは興味深い。少数派を受け入れる「新宿」という街の懐の深さが、"二丁目"という特殊な場所を作り上げた一因であろう。
また、1960年代ころの同性愛者に対する世間の目や評価が散見された。当時、同性愛者であることをカミングアウトすること、またゲイバーを開業することがどれほど覚悟がいることか改めて感じることができた。
昨今、自身の性的対象について語ることのハードルは低くなり、SNSを通して自身のプライベートを発信する同性愛者も少なくない。このような(まだ根強く偏見は残っているが、当時と比べて)寛容な社会が形成されるに至ったのも、先人たちの社会との、偏見の目との、戦いの結果であることを忘れないでおきたい。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年3月13日
- 読了日 : 2020年3月13日
- 本棚登録日 : 2020年3月13日
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