あまりに本屋で平積みになっているので我慢出来ずに購入、読了。
この物語はなんてことない、どこにでもある、とりたてて語るほどの事もないひとりの女性の人生の、「衝撃的な」物語である。
82年韓国生まれ、キムジヨン。
私は87年隣国日本生まれ、同じく女性で子供はいないが既婚で大卒、フルタイムで仕事をしている。
読みながら、もう、胸が痛くて何度も何度も手を差し伸べたくなった。強烈な共感がそこにはあった。どうしようもなく聳え立つ壁がそこにはあった。
キムジヨン、抱きしめてあげたくて仕方なかった。
わかるよ、良くやってるよ、精一杯生きてるよ、やるせないよね、どうしたらいいんだろうね、何をしたらよかったんだろうね、私たち、どうしたらいいんだろうね。
読みながら、自分の人生が走馬灯のように思い出されて、止まらなくなった。
教育実習の先生が「就職試験で男性には質問がそれぞれ10分程度あったの、女の私たちは1つか2つ質問があっただけ、負けちゃいけないよ」と教えてくれたこと、関係ない仕事の接待にも私は連れて行かれたこと、タクシーの運転手にいいお尻だねとか言われて知らない道でもすぐさま飛び降りて歩いて帰ること、転職の面接で子供はいつ頃?と神にしか分からない質問をされること、結婚してるのにどうして働くの?と100回は質問されたこと、私が相手より若くて女だというだけで全てに対して無知と思われること、小さい事から大きな事まで、もう、止めどなく、溢れて溢れて止まらなくなった。気付かないフリしてたけど、わたし、全部、すごく嫌だった!
キムジヨンの物語は、私たちみんなの物語だ。
キムジヨン、辛かったね。頑張ったね。本当に偉かったね。みんな、辛かったね、頑張ってるね。悪くないよ。あんたたちの頑張りが足りないんじゃないんだよ、能力がないんじゃないんだよ、悪くないんだよ。あんたたちのことが、愛しいよ。
読み終わって、大きな声で、誰かわからないけど、周りにたくさんいる、私を含めた「キムジヨン」に、そう言いたくなった。
- 感想投稿日 : 2019年2月25日
- 読了日 : 2019年2月25日
- 本棚登録日 : 2019年2月25日
みんなの感想をみる