赤い月 上

著者 :
  • 新潮社 (2001年5月1日発売)
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読んだのは2回目。
森田酒造は関東軍に酒を納めることで成長発展してきた。しかし、それは不安定な砂の上に建てた楼閣にすぎなかった。
昭和20年8月 満州牡丹江にソ連軍が迫っていた。森田酒造の主人森田勇太郎は出張中で留守だった。満州人の蜂起によっても利他酒造の波子をはじめとする日本人は財産を奪われた。命の危険にさらされた森田酒造の波子、娘の美咲、末息子の公平と女奉公人の3人は牡丹江省地方保安局の氷室によって軍用列車に乗ることが出来た。列車に乗っている間、何度かソ連軍による爆撃に会いやっとの思いでハルビンに着いた。しかし、ハルビンに着くと満州軍により荷物を全て取り上げられて着の身着のままになってしまった。
波子たちは公平の服の内側に隠したお金があったので、ナショナルホテルに宿泊した。ナショナルホテルは何回か泊まったことがあるので、勇太郎に会えるのではないかと考えたからだった。しかし、勇太郎に会うには収容所のほうではないかと考え直し、収容所に移った。収容所に移ってから9日目に突然勇太郎が中国人の助けもあって現れた。しかし、せっかく会えたのに、45歳以下の男たちを連れて行く列の中に46歳の勇太郎も自ら加わってしまった。
その後は回想録。

大正9年の小樽での観艦式。接待係をしていた波子と森田運送店の息子であった勇太郎はであった。
その時、波子は軍人の大杉寛治と付き合っていて、プロポーズまでされたのに、その日あったばかりの勇太郎に心引かれて勇太郎と結婚することになった。
その後、大杉と勇太郎は和解し、その大杉から満州行きを勧められた。
勇太郎夫妻に1男1女が誕生し、昭和9年満州に渡り、大杉の計らいにより森田酒造を起こした。
酒造所や住居、井戸の掘削。いよいよ棟上をする段階になって匪賊の紅槍会の襲撃にあったが、直接交渉し、武器を調達することで協定を結んだ。
昭和9年9月酒造所、住居ともに完成し、本格的な酒造が始まった。第一号は上出来の辛口であった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: その他
感想投稿日 : 2010年2月3日
読了日 : 2010年2月2日
本棚登録日 : 2010年2月2日

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