強力伝・孤島 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1965年7月30日発売)
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本棚登録 : 578
感想 : 56
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新田次郎といえば、八甲田山死の彷徨。
この短編集は、1995年直木賞を受賞した「強力伝」
他、初期の6編が収録されています。
「八甲田山」は、明治35年の青森歩兵隊の雪中訓練の悲劇。冬の山、雪の恐怖、風の凄まじさ。雪の際限ない恐ろしさの臨場感があります。
これが、後の八甲田山死の彷徨に繋がるんですね。
「強力伝」は、ほぼデビュー作とのこと。
新田次郎さんは、気象学者で気象庁の技官だったそうです。
富士山頂観測所に勤務していた時の体験で、モデルになった人物も紹介されていました。
当時、山へ荷物を運び案内を仕事としていたのが強力。彼らの仕事に対する真摯な態度や信頼していた様子が伺われます。
ただ、この小説は、それだけでなく、強力という仕事に責任と自尊心を持ち過ぎた一人の男性が、無理な仕事で身体を痛める様子が辛い。

他の作品も 雪山を経験して風の計測を仕事として 現場に携わってきた作者の臨場感ある短編集です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 直木賞
感想投稿日 : 2024年2月15日
読了日 : 2024年2月15日
本棚登録日 : 2024年2月15日

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