十二国各国の王や麒麟が、自国の為、どの様に引き継ぐか、立て直すか、といったメインストーリーの内側で貧困や政治の混乱に苦しみ悩む、官吏や市井の人々が描かれた短編集。
「丕緒の鳥」
大射と呼ばれる、陶製の的を射る儀式。その陶工が、彼の望む国を、苦悶しながら、表現する。その想いは、王に伝わる。
この儀式が、よく考えられていて、鳥のように飛ぶ様子が想像できた。
「落照の獄」
死刑制度の是非について問う。
傾きかけた国、政治に興味を失った王。そこで司法を司る官吏の苦悩。
「青条の蘭」
新しい樹木の疾患による森の崩壊を防ごうとする男達。最後の希望の苗を、王に手渡す為、何人もの人物が走り続ける。人の為、国の為、行動できる気持ちが、成し遂げるもの。
森の話になると、明治神宮の、100年を見据え設計された森のプロジェクトのことを思い出してしまいます。あれも、奉仕団の活躍があったんですよね。
「風信」
女性排除という異常な政令に苦しむ民。その為、全てを失った少女が、暦作りをしている家で奉公を始める。周囲の状況に左右されず、統計を取り続ける。なんだろうねえ、こういう研究者が存在したから、歴史が伝わっているんだろうなあ。
四柱推命とか算命とかの統計は、中国の古代から作られていた戸籍を元にしてるとか。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
新潮文庫
- 感想投稿日 : 2022年11月8日
- 読了日 : 2022年11月16日
- 本棚登録日 : 2022年8月24日
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