日本映画チャンネルで「軽蔑」を観た。どう見ても歌舞伎町でNo.1のトップレスダンサーには見えない鈴木杏は置いといて、物語が中上っぽくない。
(終盤、腹を刺された一彦が商店街を走る「勝手にしやがれ」なシーンに被る憂歌団、あれは反則でしょ。)
・・・と原作を読んでみることにする。
中上健次といえば、濃厚で重厚な物語、むっと匂い立つような生々しい性描写で読むのに結構体力がいる作品のはずが、どうもこの作品は違う。
サクサクと読める。新聞連載だったからか、性描写もほとんどない。中上色が希薄。
田舎の土地の因習、人間関係になじめずに居場所を見つけられない真知子は泣いてばかり。どうしようもなく半端なヤクザ者の一彦は、これといった見せ場もないまま物語は進む。
このだらだらとした日常はある意味、非常にリアリティがあるけど、物語としてはねぇ…。
ただ、最後の場面は、素晴らしく中上らしい終わり方。
手を伸ばせば届きそうなところで踊りながらも、手を触れてはいけない、非現実の存在としてのトップレスダンサーに真知子が戻るのは、自らがこの世の者でなくなるということ? そうなるとラストも特別な意味を持つ。
「軽蔑」というタイトルもどうとっていいのやら。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
青春小説
- 感想投稿日 : 2014年1月14日
- 読了日 : 2014年1月12日
- 本棚登録日 : 2014年1月12日
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