逆まわりの世界 (ハヤカワ文庫 SF 526)

  • 早川書房
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感想 : 11
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「ユービック」では時間退行であったが、今回は時間が逆行。逆行といっても・・・
死人がよみがえり、人はどんどん子どもに戻って最後は子宮に入んなきゃならない(実の母親でなくてもいい!)さらに、精子と卵子に
分ける必要があり!(実の父親でなくてもOK!)
毎朝、口からものを吐き出し、そった髭を顔に戻し、ソウガムなるものを下から身体に取り入れる(どうするかがよくわからない?)。タバコは吸殻を加えて煙をタバコに吹き込む、(だからタバコのおかげで空気が綺麗になる)。
挨拶は「さようなら」にはじまり、「こんんちには」で別れる。「クソっ!」という言葉は、「フード!」となる。

とまあ、なんか突っ込みどころ満載の世界の中で、新興宗教の教祖がよみがえり、それを狙う図書館とか消去局とかの三つ巴の戦い・・・。
さて、ディックおなじみの主人公のダメ男、今回は、妻に逃げられ不貞腐れながらも、店にきた女の色仕掛けに簡単にひっかかり、うじうじする死からよみがえった男。よみがえった教祖を助けに図書館に行くものの、まったく役にたたずと、最後までダメっぷりを発揮。
でも、ラストシーンが妙にいい。こんだけグダグダなのに。いや、グダグダだからこそ。
恋愛あり、宗教あり、アクションあり、ヴァンプあり、ダメ男あり。と盛りだくさん。
ディックの作品ではあまり話題にならないが愛すべきフード!な作品。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ぐだぐだ
感想投稿日 : 2015年8月11日
読了日 : 2015年8月3日
本棚登録日 : 2015年8月3日

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