「新潟女児監禁事件」という実際の事件を取り上げているものの、これは「ルポルタージュ」ではない。
加害者母へのインタビューから、犯人の実像を探って行く。引きこもりを続ける息子に厳しい態度を取れなかったのは、母親の過去に原因があるとする点、父親と息子の決裂に、父親の趣味が関わっている点など、なるほどと思わせるくだりはあったが、結局全て著者の憶測に過ぎないのだ。
犯人の性格、実生活がハッキリ見えてこないのも、インタビューの相手が母一人に限られているからだろう。
もっと幅広く親戚や関係者に話を聞けば、このような内容にはならなかったのではないか。というか、ルポルタージュってそういう物ではないの?
「弱い立場の加害者母一人に的を絞り、知りたい話を聞き出した」という印象が拭えない。著者は文中で「自分の好奇心を満たすため」とエクスキューズしているが、まさにそれが本心だと思う。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ノンフィクション
- 感想投稿日 : 2013年8月27日
- 読了日 : 2013年8月27日
- 本棚登録日 : 2013年8月27日
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