職業としての政治 (岩波文庫 白 209-7)

  • 岩波書店 (1980年3月17日発売)
3.60
  • (92)
  • (142)
  • (243)
  • (19)
  • (4)
本棚登録 : 1953
感想 : 155
4

政治: 本質的属性は権力。権力の分前にあずかり、権力の配分関係に影響を及ぼそうとする努力が政治。
政治はどこまでも政治であって、倫理ではない。しかし、政治が権力という極めて特殊な手段を用いて行われているという事実は、政治の実践者に対して特別な倫理的要求を課する。主観的にどれほど高貴な意図から出たにせよ、それだけではおのれの権力行使を倫理的に免責できないはずだから。
目的と手段との緊張関係は、ここでは他のどんな生活領域よりも厳しい。
政治とは、情熱と判断力の二つを行使しながら、硬い板に力をこめてじわじわと穴を開けていく作業。
自分が世間に対して捧げようとするものに比べて、現実の世の中がどんなに愚かであり卑俗であっても、断じて挫けない人間。どんな事態に直面しても、それにも関わらず!と言い切る自信のある人間。
可測・不可測の一切の結果に対する責任を一身に引き受け、道徳的に挫けない人間、政治の倫理がしょせん悪をなす倫理であることを痛切に感じながら、それにも関わらず!と言い切る自信のある人間だけが、政治への天職を持つ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2014年5月12日
読了日 : 2014年5月12日
本棚登録日 : 2014年5月12日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする