「戦艦大和」と戦後 吉田満文集 (ちくま学芸文庫)

著者 :
制作 : 保阪正康 
  • 筑摩書房 (2005年7月6日発売)
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本棚登録 : 28
感想 : 5
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戦中、いつでも死んでやると言う思いでいた時は日常のこまかなつとめを無視していた。戦後は、もういつでも死ぬというわけにはいかないということに愕然とする…。
生きていたが生きていなかった。生きた先に死がある。生きていなければそれは死ではないということ。これがとても印象的だった。
宗教はよくわからないけれど、悩み悩んだ末に精一杯に生きたいと願って愛に生きることを選び、そのためには絶対の光明が必要だと信仰をはじめる作者の気持ちはとても自然に感じられた。
大和のこと、戦争のことを、過去のこととしてではなく、現在考える価値のある問題として考え続けるということに意味があるのではないか。
確かに現在、日本、日本人のことを海外に行って初めて意識できるようになる人が少なくない。このように、日本人は現在自分たちの国についてのアイデンティティーについて考えることが少ないと言えると思う。
大きな仕事に取り掛かるつもりだったという吉田氏。若くして亡くなられたことが残念でならない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2017年11月3日
読了日 : 2017年11月9日
本棚登録日 : 2017年10月12日

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