教室が、ひとりになるまで (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2021年1月22日発売)
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本棚登録 : 514
感想 : 76
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俺ではない炎上、六人の嘘つきな大学生に続き、著者の作品は三作目となる「教室が、ひとりになるまで」今回は電子書籍で購入。
ある学校の2クラスで起きる連続自殺。首吊り自殺に飛び降り自殺、目撃者もいる状況の中、それぞれの自殺現場に共通されて残される「私は教室で大きな声を出しすぎました。調律される必要があります」と書かれた遺書。これは果たして本当に自殺なのか?この謎を解き明かすため、この学校に代々伝わるある特殊能力を授けられた生徒が立ち上がる…とまぁこんな感じのあらすじ。
特殊能力を使った殺人となると、テイストとしてはドラマのSPECあたりがイメージしやすいだろうか。殺人を起こす側もそれを解決する側も特殊能力を持っているという点でも共通している。
そのトリックだけではなく、この時代の高校生が抱くそれぞれの葛藤的な部分も描かれていてそこもまた面白い。高校生だけでなく大人でも共感できる部分は多くそういった側面でも面白い作品と言えるだろう。
「この世界、近くに人がいるのは叫びだしたくなるくらい煩わしくて、でもー」
「一人でいるのは耐えられないくらいさみしい」
すごくわかりますね。基本一人にしてほしい、でもずっと一人で生きるほどの覚悟はないし強くもない。でもやっぱり一人にしてほしい…私もいつもそんな感じで毎日を過ごしています。
著者の作品は起きる事件、出来事のトリックもさることながら、こうした微妙な心情描写が私には共感できる部分も多く非常に面白い。
今後も著者の他の作品をいろいろと読んでいきたいと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: Kindle unlimited
感想投稿日 : 2023年5月7日
読了日 : 2023年5月5日
本棚登録日 : 2023年5月5日

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