ユダヤ人にとっての脅威はナチス・ドイツだけではなかった。行く先々で憎悪を向けられるその様子に現在まで続くパレスチナ問題の根深さを垣間見る。戦争が終わっても物語終盤で出てくるフランス人女医の話は、レーヴィ本人の抱えていた苦悩に相違なく、レーヴィもまたやがてその深淵に飲み込まれてしまう。また同様、戦いに身を投じその深みに潜って行ったものも、やはりその縁に飲み込まれてしまう。リンたち女は大丈夫かもしれない。でも物語に出てきた男性たちは、自分の中の戦争を終わらせることなどできないのではないだろうか。
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- 感想投稿日 : 2017年10月29日
- 読了日 : 2017年10月29日
- 本棚登録日 : 2017年10月29日
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