今でなければいつ

  • 朝日新聞出版 (1992年9月1日発売)
4.67
  • (2)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 27
感想 : 2
5

ユダヤ人にとっての脅威はナチス・ドイツだけではなかった。行く先々で憎悪を向けられるその様子に現在まで続くパレスチナ問題の根深さを垣間見る。戦争が終わっても物語終盤で出てくるフランス人女医の話は、レーヴィ本人の抱えていた苦悩に相違なく、レーヴィもまたやがてその深淵に飲み込まれてしまう。また同様、戦いに身を投じその深みに潜って行ったものも、やはりその縁に飲み込まれてしまう。リンたち女は大丈夫かもしれない。でも物語に出てきた男性たちは、自分の中の戦争を終わらせることなどできないのではないだろうか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年10月29日
読了日 : 2017年10月29日
本棚登録日 : 2017年10月29日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする