『長くつ下のピッピ』シリーズ3巻め。南の島だから夏に読もうと思っていたのに、もう夏も終わります。
『ピッピ』シリーズは子供の頃にも読んでるのだけど、大人になってから読むとピッピになんとなく違和感を感じます。
強くて元気でポジティブなところはもちろん好きなんだけど、ピッピのほら話(悪意があるわけじゃないから「うそ」というより「ほら」だよね)が素直におもしろいと思えなかったり、大人の話や常識をどんどんさえぎってしまうマイウェイさに疑問を感じてしまったり。これがつまらない大人になったということなんでしょうか。
南の島で過ごすピッピは腰まわりだけ隠してあとは裸。これを躊躇なく描いている桜井誠さんのイラストもさすが。
クレクレドット島の描写も今読むと南の島の黒人たちの描き方はこれでいいのだろうかという気もします(白人であるピッピのお父さんが南の島の黒人たちを治めるという時点でまあどうなのかという)。ここらへんは時代もあるので、差別意識と単純に断じるべきものでもないのですが。
そういうつまらない見方はともかく、大人になることを否定しつつ大人になっていくであろうピッピ、そしてトミーとアンニカ。ピッピが寂しそうに見えるラストが心に残ります。
以下、引用。
「あんたがこのおいしいおかゆをたべなきゃいけないのは、あたりまえよ。だって、もしこのおいしいおかゆをたべなけりゃ、あんたはじょうぶに、大きくなれないわ。それで、もし、じょうぶに大きくなれなけりゃ、あんたに子どもができたとき、その子たちに、おいしいおかゆをたべろっていえないわけだわ。だめよ、アンニカ、それじゃだめよ。もしみんなが、あんたみたいなかんがえかたをしたひには、この国のおかゆのたべかたは、めちゃくちゃになっちまうよりないわ。」
「わたしも、大きくなったら、海賊になりたいような気がしてきたわ。」
どういうわけだかわかりませんが、この子たちは、白い肌のほうが黒い肌よりずっときれいなような気がしていました。
「わたし、たいそ、きれいな、白い、おひめさまあることないよ。」と、ピッピは、あやしげなクレクレドット語をしゃべりました。
「白い子たち、竹さんの靴がだいすき。」ピッピはいいました。
「この旅行は、わたしの美容上、ほんとに役にたつわ。」ピッピは、まんぞくげにいっていました。「わたしは、いつもよりずっとそばかすがふえて、ずっとうつくしくなったわ。このままでいったら、それこそわたし、圧倒的に人をひきつけるようになっちゃうわね。」
「なによ、そんなの。」ピッピはいいました。「心があったかくて、とんとんと脈をうってれば、こごえるなんてことはないわ。」
- 感想投稿日 : 2020年9月15日
- 読了日 : 2020年9月15日
- 本棚登録日 : 2020年9月15日
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