革命のライオン (小説フランス革命 1)

著者 :
  • 集英社 (2008年11月26日発売)
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本棚登録 : 271
感想 : 39
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フランス革命を舞台にしたお芝居とか良く見るわりに全然わかってなくて、ミシュレの「フランス革命」で概要を知ろうと思ったけどなかなか進まないのでいったんあきらめ、こっちのほうが初心者向けかなと。面白い!「革命のライオン」は三部会開催から球戯場の誓いを経て、軍隊(近衛兵)が出動し、きな臭い雰囲気になってくるあたりまで。ミラボーが主役級で若い頃のロベスピエールが現実と理想の折り合い、政治工作駆け引きのノウハウなど彼に薫陶を受ける。
ネッケルが重要人物ってことは知ってたけど、どういう意味で重要なのかわかってなかったし、税金逃れたい貴族たちと財政に苦しむ国王の間の距離感も理解してなかった。事象としては知っていたけど、この本で読んで初めて理解が出来た。第三身分の平民が最初は決して国王に憎しみを抱いてなかった(少なくとも議員連は)ということも結構驚きで、この後、処刑に到る経緯も気になる(ヴァレンヌ逃亡も、こうした最初の状況があって初めて理解ができそう)。
物語は「フランス革命の象徴」であるロベスピエールの成長譚になっていくと思われるが、「真の理想のためならどんな手段も」と思うくだりに既に胸が詰まる。最初の師であるミラボーの影響がずいぶん大きいのも今後重要になってきそう(このあたり小説だから史実と違うのかもしれない)。ミラボーは最初期の革命を支えた超重要人物だったということも改めて良くわかった。何かもうじき死にそうなので心配です。あとはまだデムーランとリュシュル(タレーランも名前だけ)がちらっと出てきたくらいだが、このあと続々と“人物”が出てくるのかと思うとめまいがする。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: フランス史
感想投稿日 : 2018年2月19日
読了日 : 2018年2月18日
本棚登録日 : 2018年2月18日

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