プレイフル・シンキング[決定版] 働く人と場を楽しくする思考法

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  • 宣伝会議 (2020年8月28日発売)
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感想 : 16
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働き人としてだけでなく、子供や教育に携わる人すべてに読んで欲しい良書!
働くことや学ぶことがワクワクになる!
エビデンスもしっかりしていて、実践に基づいており、難しいことをとってもわかりやすく書いてくれている。
そばに置いて何度も読み返したくなる一冊。
この内容が1600円なんて、コスパ良すぎる。


【心に残ったこと】
Can(できるかどうか)で考えるのではなく、How(どうやったらできるのか)で考え、自分の周りの環境を最大限に生かせば、ワクワクする学びの場を創り出すことができる。
自分の行動によって引き起こされる予測不可能な変化に対して、「楽しい」と感じるマインドこそが自分の成長につながる。

題名の「プレイフル・シンキング」とは、本気で物事に取り組んでいるときのワクワクドキドキする心の状態のことを言う。どんな状況であっても、自分とその場にいる人やモノやコトを最大限に生かして、新しい価値(意味)を作り出そうとする姿勢とも言う。

自分のコンフォートゾーンを飛び出し、少しずつ変化を楽しめる体質に改善していくことが大切だ。

これまでの学校教育は、大人から子供へ知識を伝達する「インストラクション」が中心だった。それに対して、今大きな潮流となっているのが、「コンストラクション」である。学びとは子供が何かを体験し、その体験を振り返るプロセスを通して自ら構築していくものであるという考え方である。知識とは他社から与えられるものではなく、自ら作り上げていくもの、つまり「創造するもの」であるという考え方だ。教育学では、このような創造的な学びのことを「コンストラクショニスト・ラーニング(構築主義的な学び)」と呼んでいる。

学びとは「実践する」→「振り返る」→「意味付けする」と言うプロセスを繰り返すことである。

状況と対話し、自分の行動や考え方を振り返ることで問題の本質を捉え直し、解決していく能力を身に付けている人をプロフェッショナルと呼ぶようになった。プロフェッショナルとしての存在価値は、専門的知識や技術を持つことにあるのではなく、むしろそういった蓄積されたものに安住することなく、状況に応じて自分を進化させ、イノベーションを生み出すことにある。

「自分には周囲の世界を変える力がある」という信念や、自分のしようと思っていることを実現できるという確信のことを、「クリエイティブコンフィデンス」と呼ぶ。実践と省察と意味付けを繰り返すことが、クリエイティブコンフィデンスを高める秘訣。

仕事の仕方においても、上司から言われた通りに課題をこなすのではなく、自分ならどうするかという視点で課題を捉え直してみる。これが「自分なりに課題を設定しなおす」ということである。課題とは誰かに与えられるものではなく、自分自身が設定するものである。仕事の本質は何かを見極め、自分がどのように取り組んでいけば目標を達成できるかを「自分の問題」として捉え直す事が大事なのである。

課題は自分ひとりで抱え込まず、可能性は状況中にあると考えてみる。可能性とは「個人」だけに備わっているのではなく、私を取り巻く「状況」に埋め込まれている。誰と一緒に仕事をするのか、どの道具を使うのかも含めて状況メタ認知、可能性の広がりを感じてみる。「この状況をどれだけ活用できるのか」「他者とどれだけ協同できるのか」と言う視点が重要だ。こうした他者との協同によって開拓できる領域のことを「憧れの最近接領域」と呼ぶ。自分1人で実現するのは難しいけれど、あの人とだったら「憧れ」に到達できるかもしれないと思えること、誰かと一緒だからこそ生まれてくる自信のようなものがある。

子供が勉強するときには2つの目標がある。「成績目標」と「学習目標」である。成績目標を持つ子供は成績を良くすることが勉強の動機になっており、学習目標を持つ子供は学ぶこと自体が楽しくてそれが勉強の動機になっている。成績も上げなくてはいけないし、自分のやりがいも追求したい。両方をバランスよく持って折り合いをつけることが「納得のいくゴール」ということになる。この2つをバランスよく持つためのカギは、「長期目標」と「短期目標」にある。意識したいのは長期目標である。
3年後、5年後こうありたいといったような、成長するための長期的な学習目標を自分自身で設定してみる。仕事においても然り。

日ごろから習慣付けしたいことの1つが、自分の活動を振り返ってみるということである。変化する状況の中で、この状況をどう把握すればいいのか、その状況に対して今の自分の行動にはどのような意味があったかをみたり、出来る限り言語化してみたりする。省察することで行動を意味付けしたり、問題の本質を明らかにしながら、次の行動を適切なものへと軌道修正していくことが大切なのである。

体験と経験は違う。
体験とは、活動の現象をとらえたものであり、活動の意味付けがなされてない状態のものである。今の教育現場には、体験すれば学べると言う誤解が見受けられるようだが、体験しただけでは自分のものにはならない。学びとしては不十分。体験の意味を振り返り、その意味を自分の中で構造化したり言語化したりすることで、「腑に落ちる」とか「わかる」といった状況に消化され、経験として身に付くのである。
これまでは、体験と経験の意味を混同していたが、はっきりと意味付けがされていてわかりやすかった。

一歩踏み出す勇気が出ない時、具体的に動いてみるということをやってみる。自分ができることから始めてみると良いだろう。もしチームで取り組んでいるのなら、チームに貢献できる事は何かを考えてみる。どんな小さな事でもいいから、その仕事に主体的に関わっていくことがとても大事。自分が動けば必ず状況は変わる。

上司や先輩など周りの人から助けを得る時も、仕事に取り組む主体は私であると言うことを忘れずにいたい。自分なりの目標設定や課題設定を行うことで、仕事を自分のものにしていくことが大切。

仕事のやり方は1つではないし、そもそも仕事のやり方に正解などない。既存のやり方では見通しがたたなかったり、現状に行き詰まったりしたときは、状況をメタ認知して、もっと自由にHowを考えてみると良い。

頭の中にある自分の考えを外に出す事は全てアウトプットである。誰かに話したり文字に書いたり、絵や図で表現したり。
アウトプットの良いところは、可視化したり言語化したりすることで自分なりにメタ認知できるだけでなく、他者とも共有できるようになることだ。また、アウトプットは学びそのものの行為である。アウトプットする過程において、インプットした知識や情報を自分なりに咀嚼し、意味の組み換えや再構成を行うことで自分のものにしていくことができる。こうやって意味を再構築して初めて、仕事で使えるノウハウとして蓄積されていく。

仕事ではよくプレゼンテーションを行うが、インタラクティブに進化していくための手段としてアウトプットを捉えてみるとプレゼンテーションに対する認識も変わってくる。プレゼンテーションとは、その後に起こる議論のための材料や話題提供であり、議論のベースとなるフレームワークや考え方の提示である。それをもとにオーディエンス(提案を受ける人)も交えて議論し、気づきや発見を見出すような創造的な共同作業である。提案者が話題を提供した後には、お互いの議論を深められるような仕掛けや活動を組み込むことが重要である。

異なる考え方や価値観に出会った時は、否定せずに、まずは受け止めてみる。そして、「自分の考え方に取り入れられるかな」と柔軟に考えてみて境界線が広がるかどうかを試してみると良い。

子供たちが夢中になれる活動や道具、環境デザインして、そこで子供たちが何かを作ったり、他者と語り合ったりする中で、触発されて、発見していくような学びの場を作ってきた著者。
もっと他の本も読んでみたくなった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年10月17日
読了日 : 2020年10月17日
本棚登録日 : 2020年10月17日

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