嫉妬の香り (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (2004年5月20日発売)
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本棚登録 : 711
感想 : 70

このまえも思ったからこれを買ってみたんだが、やはりこの作家さんすきかもしれん。



私の唾液だけが、彼女の顔を汚しているような気がして後ろめたい気分に包み込まれていく。どんなに力を込めても、激しく彼女の肉体を弄ろうとも、ミノリはだらりとしたまま一向に応じようとしなかった。ただ拒絶もしなかった。私の心が落ちつくまで、自分の肉体を貸し与えているといった応じ方だった。

―――何もかも置いてきた。捨ててきたと言った方がいいのかしら。もう戻る場所もない。戻るつもりもないけど。

結婚を人々が求めるのは、そこに独占しあうという約束を公に手に入れるためであり、結婚によってただ相手を自分につなぎとめるためだ。結婚という法律を行使しないで、一生添い遂げる人も中にはいる。愛している、という言葉を一生使わないで人を愛す自信のない私には真似のできることではない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年2月3日
読了日 : 2022年2月3日
本棚登録日 : 2022年2月3日

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