この物語に耽溺したであろう年頃はファンタジーにはまっていたので、こうした現実的な冒険には目が向いていなかった。秘密基地建設には燃えていたのだから、きっと読んでさえいたら心底惚れ込んだだろう。大人になった今は、とてもそこまではひたりきれず、それが非常に残念。
そのかわり、この世界の大人のすごさはリアルにわかる。上巻では、なんといってもお母さん。どうやらオーストラリア育ちらしい彼女のサバイバル能力はなみではない。子ども達との距離の取り方も絶妙。同じ立ち位置で会話ができるし、さりげなく示される気遣いは心憎いばかり。さらに毎朝ミルクを供給してくれる農場の人や炭焼きのおじさん(おじいさん?)といった、周囲の大人の子ども達へのまなざしも見逃せない。
もちろん、子ども達自身の生活力の高さに裏打ちされた「ごっこ」の徹底ぶりがいかしているし、長男にいたっては自分の振る舞いについて、ある種の「哲学」すら持っているのもすごい。
さて、帆船好きとしては、特に子ども達の操船能力に注目。小学校低学年かと思われる年齢の末っ子でさえ、「間切」ることを知っているなんて。
そしてアマゾン号の女海賊のお姉ちゃんの末頼もしさ。なんとも魅力的だ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
現代
- 感想投稿日 : 2013年7月22日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2013年7月22日
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