本の運命 (文春文庫 い 3-20)

著者 :
  • 文藝春秋 (2000年7月7日発売)
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本棚登録 : 771
感想 : 71
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井上ひさしさんの本は初。
読書や本に関する本は好きだから、いろいろ読んでいたが、その中でもやはり読書量のある人は視点が面白いと思った。読書量のある人だから発信できる言外のメッセージがあるし、読書量のある人だから感じられる視点がある。そういうことを感じられることはもちろん、発信できる人になりたい。
中でも、「子どもを本好きにするには」は興味深かった。日本では読書感想文をよく書かす。そして、感じたことがおかしいと大人が判断し、ダメ出しをする。子どもは本を読まなくなる。
そりゃそうだ。「感想を書くのは難しい」という視点を持っている大人がそもそも少ないだろう。
感想文を廃止し、要約を書かせることのほうが大切と言うが、おっしゃる通りだと思う。また、本書で提案されている、日本の「1+1=2を文章で書きなさい」より、アメリカの「阿片について調べなさい」のほうが本に親しむだろうことはよくわかる。
やっぱり大人は、自分が嫌だったことでも、自分がしてきたこと、されてきたことをする傾向にあるのだ。そこをどれだけ子どもが主語にできるかの発想の転換が最も難しい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ
感想投稿日 : 2012年2月5日
読了日 : 2012年2月5日
本棚登録日 : 2012年2月5日

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