荒城に白百合ありて

著者 :
  • KADOKAWA (2019年11月21日発売)
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本棚登録 : 490
感想 : 63
3

★3.5
会津藩の武家の娘・鏡子と、薩摩藩の青年・伊織。二人の行き着く先が見えているとはいえ、個々の視点から綴られる幕末の世が興味深い。そして、御家訓を何よりも尊ぶ会津と、薩摩隼人たれとされる薩摩。一時は道を同じくするものの、辿る結末の真逆さが何とも物悲しい。改めて、「こうあるべき」とされる事柄が多すぎて、生き辛い時代だったのだとつくづく思う。そんな中でも異色だった、鏡子と伊織が余計に生き辛いのは明白。悲劇だけれどラストには安堵しかなく、夢が目前に迫りながら絶えた伊織の微笑が、切なくて可笑しくて愛おしい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ:  さ行
感想投稿日 : 2020年7月11日
読了日 : 2020年7月11日
本棚登録日 : 2020年7月11日

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